ワンランク上のキャンプを目指すなら、キャンプ用のアウトドアチェアに気を配ってみましょう!
テントや寝袋に比べると軽く見られがちなキャンプチェアですが、椅子選び一つでキャンプの快適さはガラッと変わります。
というわけで今回は、優れたキャンプチェアの特徴と選び方について詳しく解説していきましょう。
キャンプ用アウトドアチェアは大きく4種類
キャンプ用のアウトドアチェアには、大きく分けて4つのタイプがあります。
ハイチェア・ローチェア・ロッキングチェア・リクライニングチェアと分けられますが、どれも一長一短があります。
必ずしも「これが一番良い!」ということはありませんので、それぞれのメリット&デメリットを理解して自分に合った椅子を探してみましょう。
ハイチェア
座面が高い位置にあるキャンプチェアを「ハイチェア」と呼びます。
高さに明確な定義があるわけではありませんが、一般的には地上から40㎝~50㎝程度の位置に座面が来るものがハイチェアとされます。
一般家庭のダイニングテーブルなどで使われている椅子の高さに近いため、違和感なく座れるのがハイチェアの特徴のひとつです。
高さのあるキャンプテーブルと併用する場合は、ハイチェアを選ぶのが無難でしょう。
例えば高さ70㎝のテーブルを置くとして、座面の高さが40㎝前後のハイチェアなら無理のない姿勢で食事をとることができます。
ハイチェアのメリット
ハイチェアを選ぶメリットは「立ち上がるのが楽」という点に尽きます。
座面が低いローチェアや、全身が沈み込むような柔らかい椅子だと、体を起こすのも一苦労ですよね。
しかしハイチェアなら軽く前傾姿勢になるだけで立ち上がれるため、立ったり座ったりを繰り返してもあまり疲れません。
そのためキャンプ中にバーベキューをする予定なら、ハイチェアが重宝するでしょう。
バーベキュー中は火加減を見たり食材を取りに行ったりするので自然と立ち座りする機会が多くなりますが、低い椅子しか持っていないとその繰り返しも大変です。
このようにハイチェアは、キャンプ中にせかせか動き回るタイプの方におすすめのキャンプチェアだといえます。
ハイチェアのデメリット
ハイチェアのデメリットは「持ち運びが大変」という点にあります。
当然の話ですが、大きな椅子ほど重量が重くなりますし、骨組みが大きければそれだけかさばります。
もちろんアウトドア用のハイチェアは折りたたんで持ち運べる設計になっていますが、それでもローチェア等に比べれば持ち運びは不便です。
荷物がかさばりやすくなるため、最小限の荷物でキャンプに臨みたい方はハイチェアを避けたほうがいいでしょう。
全ての荷物を一人で持ち運ばなければならないソロキャンパーには、あまり向いていないキャンプチェアかもしれませんね。
ローチェア
座面が低い位置にあるキャンプチェアを「ローチェア」と呼びます。
こちらも明確な基準はありませんが、一般的には地面から30㎝前後の高さに座面が来るものがローチェアとされていますね。
全身を包み込むように深く座ることができるため、基本的にハイチェアよりも座り心地に優れているものが多いです。
長時間座り続けても体が痛くならないので、キャンプ中は基本座ったまま過ごしたいという方におすすめ。
一人で静かに本を読んだり、音楽を聴いたりすることが多いソロキャンパーに好まれやすいタイプのキャンプチェアです。
ローチェアのメリット
ローチェア最大のメリットは、やはり「座り心地が良い」という点でしょう。
ものによっては寝転がっているのと大差ないくらい体をリラックスした状態にキープできるので、長時間座っていても体が痛くなりにくいです。
ただしローチェアの座り心地はメーカーやモデルによって異なるので、購入の際には実際の座り心地をチェックしておいたほうがいいというところだけ注意ですね。
また、コンパクトなので持ち運びがしやすいというのもローチェアの優れた部分。
脚が短く設計されている分、重量や大きさが抑えられているため、身軽なキャンプを好む方にも人気です。
ローチェアのデメリット
ローチェアのデメリットは、座面が低いので「立ったり座ったりが大変」なこと。
体の大きな人や体重の重い人はそれだけ深く体重がかかってしまうため、起き上がるのに一苦労してしまいます。
ローチェアに座ると重心が後ろに引っ張られるので、座ったまま飲食がし辛いというのも難点。
飲み物はストローを使えば解決するとしても、意識して前傾姿勢を取らないと食事ができないのが残念なところではあります。
重心の位置もモデルによって違うので一概には言えませんが、ハイチェアに比べると食事に不向きなのはローチェアの特徴のひとつです。
ロッキングチェア
座ると前後にゆらゆら揺れるタイプの椅子を「ロッキングチェア」といいます。
暖炉の前に座ったおばあさんがロッキングチェアに揺られながら編み物をしている…という光景を、童話で見た覚えがある方も多いでしょう。
ロッキングチェアは室内用としても人気が高い椅子なのですが、最近ではアウトドア用にデザインされたロッキングチェアもたくさん出回っているんです。
「前後に揺れる」ということがロッキングチェアの条件なので、ロッキングチェアの中にも「ハイチェアタイプ」と「ローチェアタイプ」があります。
揺れるおかげで重心を移動しやすく、ハイチェアタイプなら「座り心地」、ローチェアタイプなら「立ち上がりにくさ」という欠点を補ってくれています。
ロッキングチェアのメリット
ロッキングチェアのメリットを一言でまとめるなら「快適さ」でしょうか。
四本脚ががっちり地面を掴んでいる普通の椅子とは違い、座っている人に合わせて動くので座り心地が快適なんです。
重心を後ろに倒したければ背板にもたれるだけでいいですし、立ち上がりたければ前に揺らすだけでスムーズに立ち上がれます。
意外と知られていないロッキングチェアのメリットとして、「風で倒れにくい」というのもあります。
ロッキングチェアは多少の風の煽りくらいなら前後に揺れて吸収してくれますし、単純に接地面積が広いので倒れにくい性質があるんです。
ロッキングチェアのデメリット
ロッキングチェアのデメリットは「使用する地面を選ぶ」という点です。
芝生のキャンプ場ならほとんど問題なく使えますが、砂地や柔らかい土の地面に置くと安定性がイマイチなことがあります。
ロッキングチェアは座っている人の体重が一点に集中してしまうので、地面が柔らかいと少し埋まってしまうのが原因ですね。
埋まっていても座るだけなら問題ないのですが、ロッキングチェア最大の魅力である「揺れる」という特徴は封印されてしまいます。
砂地に吸収されてしまうので上手く揺れることができず、下手すれば変な傾き方で止まってしまうことも…
リクライニングチェア
「リクライニングチェア」も人気のキャンプチェアの一つです。
好みの角度に背もたれを調節できるので、使う人を選ばず最適な座り心地を作れるのがリクライニングチェアの強みですね。
こちらもロッキングチェアと同等、「ハイチェアタイプ」と「ローチェアタイプ」の2パターンが存在します。
ハイチェアタイプなら足を乗せる「フットレスト」が付いていることがあり、深めに倒しても足の置き場に困ることがありません。
ほとんど寝転がった姿勢まで倒せるタイプなら、限界までリクライニングを倒してそのまま昼寝…なんて楽しみ方もできちゃいます。
リクライニングチェアのメリット
リクライニングチェアのメリットは「臨機応変に使える」ところじゃないかと思います。
立ち上がる場面が多ければ背もたれを浅めにしておけば移動しやすいですし、しばらくゴロゴロしたいなら背もたれを深く倒して寝転がることもできます。
いわばハイチェアとローチェアの良いとこ取りのような形で使えるので、ソロキャンプからグループキャンプまで幅広い層に愛用されています。
そのままベッドとして活用できる設計の「リクライニングベッド」タイプもありますので、こちらを選べば寝袋系の荷物を減らすことも可能です。
リクライニングチェアはしっかりした造りのものが多いので、ベッドとして寝転がっても安定感があって気持ちがいいですよ。
リクライニングチェアのデメリット
リクライニングチェアのデメリットは「重くてかさばる」ことです。
一般的にリクライニングチェアの重量や大きさはハイチェア以上なので、キャンプにリクライニングチェアを持っていく場合はそれなりの荷物を覚悟しましょう。
苦労して持っていくだけの価値がある使い勝手の良さだとは思うのですが、荷物が増えることを嫌うソロキャンパーには敷居が高いかもしれません。
ただし一口にリクライニングチェアと言っても様々で、「軽量化」に特化したリクライニングチェアを出しているメーカーもあります。
ローチェア並みとはいきませんが、気にならない重さのリクライニングチェアもあるので、興味のある方はキャンプ用品メーカーのカタログをチェックしてみてください。
キャンプ用アウトドアチェアの選び方
ここからは優秀なキャンプチェアを選ぶコツをご紹介していきましょう。
ハイチェア・ローチェア・ロッキングチェア・リクライニングチェアのどれを選ぶにしても、以下のチェック項目を参考にすればより良い椅子に巡り合えるはずです!
自分の好みや求める条件に照らし合わせながら、キャンプチェア選びで絶対に押さえるべき項目を見ていきましょう。
軽量性&コンパクト
やはり一番気になるのはキャンプチェアの重量ですね。
座り心地を第一に考えてしまう初心者も多いですが、座り心地に比重を置きすぎると「せっかく買ったのに重くて持ち運べない!」なんてことになりがち。
現地まで運ばなければならない装備品はキャンプチェアだけでないので、「他のキャンプグッズと合わせて持ち運べる重さか?」を意識しながら選びましょう。
キャンプチェアの重量はタイプによって大きく違い、一番軽いローチェアでだいたい2~3㎏くらいです。
軽量を売りにしているローチェアであれば、1㎏以下まで重量を抑えた非常に軽いモデルもあるでしょう。
ハイチェアでは3~5㎏くらいの重量のものが一般的ですが、これにロッキング機能やリクライニング機能が加わるともう少し重くなります。
当然ですがオシャレな木製のキャンプチェア等はさらに重くなってしまうので、軽くて頑丈な素材のものを意識して選ぶようにするといいでしょう。
座り心地(座面)
重量の問題さえクリアしてしまえば、あとはできるだけ座り心地の良い椅子を探しましょう。
軽かろうと重かろうと、わざわざ荷物を増やすんですから快適なキャンプチェアでなければ持っていく意味がありませんよね。
キャンプをより快適に過ごすためには、できるだけ座り心地の良い椅子を選びたいものです。
ハイチェアやローチェアといった構造的な問題はどうにもなりませんが、モデルごとの座り心地を比べるときは座面を見るのがコツです。
座面が腰を包み込むような曲線を描いているものは座り心地が安定していますし、逆に背もたれと座面が直角に近いものは長く座っていると疲れます。
それから布地・メッシュ・木製・プラスチックなど、座面がどの素材で作られているのかも座り心地に直結しますよ。
価格とコスパ
キャンプチェアもピンキリですが、必ずしも高いものを買えばいいわけではありません。
例えば同じ3万円のキャンプチェアだとしても、「とても軽いから高額」なのか「とても頑丈だから高額」なのかで話が変わってきますよね。
実際、重くて頑丈な木製キャンプチェアなどは比較的高値で販売されていますが、だからといって木製のキャンプチェアを使うキャンパーはほとんどいないでしょう。
あくまでも、大切なのは自分が求める条件に合ったキャンプチェアを探すことです。
重量も使い勝手もほとんど同じだがブランドだけが異なる2種類のキャンプチェアがあった場合、無理して高いほうを選ぶ必要はまったくありません。
しっかりと機能と価格を照らし合わせて、よりコスパの良いキャンプチェアを選ぶようにしてください。
収納
重さだけでなく、収納したときのサイズ感もよく見ておきたいチェックポイントになっています。
一般的なキャンプチェアは楽に持ち運べるよう折り畳み式になっていますが、折りたたんだ時のサイズ感はものによってかなり違います。
ハンドバッグくらいのサイズまで小さくできるタイプもあれば、畳んでも1メートル近い大きさのままのキャンプチェアもあるのです。
キャンプチェアの重量はしっかり確認していたのに、収納したときの大きさを見忘れていたというミスは意外に多いです。
あまり大きいと現地まで持ち運ぶのも大変ですし、他のキャンプ道具との兼ね合いでそもそも車やバイクに載せられないといった事態にもなりかねません。
耐荷重
最後に、購入するキャンプチェアの耐荷重はしっかりと確認しておきましょう。そして自分の体重も確認しましょう。
キャンプチェアの耐荷重は80㎏程度に設定されていることが多いため、大柄な男性ならうっかり超えてしまいかねないのです。
もちろん耐荷重100㎏~150㎏のキャンプチェアもありますので、選ぶ時さえ気を付ければ大抵の人が理想のキャンプチェアに出会えるはずです。
デザインの可愛らしさで選ぶのも楽しいですが、こじんまりしたキャンプチェアは耐荷重が低めなので要注意ですよ!