初めてのキャンプでなかなか寝付くことが出来ず、睡眠不足でクタクタになってしまった…なんて経験をもつキャンパーは少なくありません。
いつもと違う環境で眠るのはそれだけで睡眠の妨げになってしまうわけですが、それよりも初心者キャンパーが眠れない原因の多くは「睡眠用の装備」の用意が甘いことにあります。
アウトドア用のコットやマットは、きちんと宿泊条件に合ったものを選ぶだけで、睡眠の質をグンと引き上げてくれますよ!
睡眠時に使うコットとマットとは?
キャンプでは寝袋だけを使って寝ているというキャンパーも珍しくはないでしょう。
夜でも比較的過ごしやすい夏キャンプなら寝袋だけでも問題ありませんが、その考え方のまま秋冬キャンプに臨むのは止めておいたほうが良いでしょう。
秋から冬にかけては夜間にぐっと気温が下がってしまうので、保温性の高い寝袋を使ったとしても底冷えして眠れなくなりがちです。
そこで検討してほしいのが、寝袋とは別に「コット」や「マット」を用意すること。
コットやマットはテントの床に敷くキャンプ用の敷物で、地面からの冷気をシャットアウトしてくれる優れものです。
また地面のゴツゴツ感も一気に軽減してくれるため、「朝起きたら体が痛かった…」というキャンプにありがちな失敗もしなくて済みます。
一口にコットやマットと言っても種類がいろいろあるので、ここからはそれぞれの種類を大別してご紹介していきましょう。
ベッドのように快適な睡眠もできる商品もあるのであると気持ちよく寝れます。
キャンプで使うコットの特徴
まずは「コット」について解説していきたいと思います。
コットは骨組みを組み立てるだけで展開できるシンプルなベッドで、いわゆる「キャンピングベッド」と呼ばれるものです。
最大の特徴は、脚がついているおかげで地面に直接横たわる必要がないという点。
冬場は地面からの冷気を軽減するので暖かく、夏場は風通しが良いので蒸れにくいという一挙両得のスタイルになっています。
高さがあるおかげで、地面のコンディションをあまり気にしなくていいというのもコットの魅力です。
砂利サイトでも体が痛くありませんし、うっかり岩の上にテントを立ててしまってもコットなら大した問題になりません。
ローコット
一般的に、地面から20~30㎝の高さをもつコットを「ローコット」と呼びます。
ローコットの特徴はバツグンの安定感と、テントの中に置いても狭さを感じさせない解放感です。睡眠中に寝返りを打つことが多い方はローコットを選ぶのがおすすめですね。
ローコットは重心が低いので安定性が非常に高く、普通に寝返りを打ったくらいではまず倒れません。万が一落ちても怪我もしないような高さなので、小さなお子さんの睡眠用にも人気なのがローコットです。
実際に寝転がってみても、テントの天井まで距離があるので狭さを感じません。
高めのハイコットを使って圧迫感を感じた経験がある方は、試しにローコットに変えてみるのも手だと思います。
ハイコット
一般的に、地面から40㎝前後の高さをもつコットを「ハイコット」と呼びます。
ローコットよりも高さがある分、地面からの熱や冷気をより効率的にカットしてくれるのが特徴です。
下の空いたスペースに荷物を収納しておけるというのも、ハイコットならではの魅力。
ハイコットの下に荷物を入れて置けばテント内の省スペース化になりますし、置いた荷物が断熱材代わりになるのでさらに快適に寝られます。
一度のキャンプに持っていく荷物が多い方や、グループキャンプを中心に行う方にも人気のモデルですね。
またハイコットは、高さがあるのでベンチ代わりに座って使うこともできます。
これ自体が椅子としても使えるので、キャンプチェアは置いてハイコットを持っていくというソロキャンパーもいるほど。
ローコットに比べて持ち運びが大変なのがハイコットの欠点ですが、キャンプチェアを置いていけるとなれば、荷物はむしろ軽くなるくらいでしょう。
キャンプで使うマットの特徴
コットと違って骨組みが無い分、軽くてかさばらないのがマットの強みですね。
保温性重視、寝心地重視、収納性重視など、製品によって特徴が大きく異なるのもマットならでは。
季節やキャンプスタイルに合わせて使い分けることが出来るので、お気に入りのマットを何種類か常備しておくのも良いでしょう。
銀マット
キャンプ用マットの中で最もポピュラーなタイプが「銀マット」です。
アルミ等の素材を組み合わせて作られた銀色のマットで、軽くて断熱性も高いのが特徴。
基本的にキャンプ用マットの中で一番安価なので、初心者からグループキャンパーまで幅広い層に支持されています。
ホームセンターに行けば安いもので500円くらいから売られているので、装備にかけるお金を節約したい方にも人気。
ただし安価な銀マットは薄いので、他のマットに比べると断熱性や寝心地という点で劣ることは頭に入れておきましょう。
夏場のライトなキャンプでは安い銀マットでも充分ですが、秋冬にかけての本格的なキャンプならもう少し性能の良いマットを選ぶことをおすすめします。
とはいえ安い銀マットでも、寝袋の下に一枚敷くかどうかで快適さが大きく変わってきます。
実際に使ってみてから自分に合ったマットの方向性を決めることも出来るので、安くて試しやすい銀マットは初心者の入門用マットとしてもおすすめですね。
ウレタンマット
発砲素材のウレタンで作られたマットが「ウレタンマット」です。
ウレタンは建物の壁に埋め込む断熱材として使われるほど保温性の高い材質なので、地面からの冷気や熱を大幅にカットしてくれます。
銀マットよりは多少値が張りますが、それでも2000~3000円台で充分良いものが買えるのでお財布にも優しいです。
断熱性能の高さは言うまでもなく、数センチの厚みがあるので寝心地も上々。
ウレタンの厚みが地面のゴツゴツ感を吸収してくれるので、地面のコンディションが多少悪くとも気になりません。
ただしウレタンはあまり小さく畳めないので、荷物がかさばってしまうというデメリットがあります。
ウレタンマットにはロール式と蛇腹式がありますが、どちらもそれなりのサイズ感なので荷物を最小限にしたい方には不向きです。
エアマット
空気を注入して膨らませるタイプのアウトドアマットを「エアマット」と言います。
寝心地だけで選ぶならエアマットがダントツ。空気が入っているのでフカフカで、かつ空気が断熱材の役割を果たすので保温性もバッチリ。
エアマットは膨らませた時の厚みによって寝心地に違いが出るのですが、中には家庭用のベッドと同じくらい厚く膨らむタイプもあるので奥が深いです。
また、使用する時に空気を入れる方式なので持ち運びに便利なのもエアマットの強み。
畳めばペットボトル並みに小さくなるタイプもありますし、重量もせいぜい500~1000gと軽いのでソロキャンパーにも人気です。
使用感では圧倒的なエアマットですが、注意したいデメリットもいくつかあります。
よく言われるのが「膨らませるのが大変」という点。敷くだけのマットと違い、空気を注入する作業が要るため面倒に感じる方も多いです。
エアーポンプが内蔵されているタイプもありますが、ポンプ内蔵のエアマットは価格が高いので手が出しづらいかもしれません。
もしも穴が開いてしまったら機能しなくなるというのもエアマットの怖いところですね。
銀マットやウレタンマットなら少しくらい穴が空いても問題ありませんが、エアマットは穴が開いた時点で使い物にならなくなります。
もちろんアウトドア用ですので頑丈に設計されてはいますが、キャンプ中に穴が開いてしまったら修繕も難しいので、取り扱いには充分な注意が必要です。
インフレーターマット
「インフレーターマット」は、ウレタン等の断熱性に優れた素材を側生地で覆ったアウトドアマットです。
使用時は空気を取り込んで膨らみ、撤収時にはまた空気を抜いてコンパクトに収納できるので持ち運びも楽々。
特徴だけ聞くとエアマットそっくりですが、インフレーターマットには「栓を開けるだけで自動的に膨らむ」という便利な性質があります。
勝手に膨らむので設営時に手間がかかりませんし、空気を抜くのにかかる時間も基本はエアマット以下。
寝心地は良いのに「空気を入れるのが面倒」というエアマット最大のデメリットをクリアし、さらにはウレタンのおかげで高い断熱性を誇る「いいとこどり」なマットだと言えます。
総合的な性能で考えると、インフレーターマットが最も優れたマットの形態といっても過言ではないでしょう。
ただしインフレーターマットにも短所はあり、そのひとつが「穴が開きやすい」ということ。
ウレタン素材に空気を取り込んで膨らむタイプのマットなので、空気が漏れれば当然使い物にならなくなってしまいます。
砂利サイトや尖った石がある場所など、マットを傷つける可能性がある場所では使用できないのが最大の弱点ですね。
また、インフレーターマットは性能が良いだけに価格は高くなりがちです。
高機能なものだと1万円を超えることも珍しくないため、初心者にはちょっと敷居の高いマットです。
コットとマットを徹底比較!どっちがいいの?
地面と距離が作れるため保温性が高いコット、種類が多く自分に合ったものを選びやすいマット、それぞれに一長一短があることがお分かりいただけたでしょうか。
「結局コットとマットはどちらを選ぶのが正解なの?」と余計に悩んでしまった方もいると思いますので、ここからはコットとマットの性能を徹底比較していきましょう。
今回は、寝心地・収納サイズ・保温性・クッション性・重量・機能性と、様々な視点からコットとマットの有用性を解説していきます。
アナタのキャンプスタイルを見極めた上で、どの要素に特化したものが自分に合っているか考えてみてくださいね!
寝心地→コットの勝ち!
モデルやメーカーに関わらず、寝心地が安定しているのはコットです。
基本は布地なのでフカフカしているわけではありませんが、体を宙に浮かせた状態で寝られるので無理のない場所に重心がかかります。
地面のコンディションをあまり気にしなくていいので、ローコットでもハイコットでもハズレはないですね。
ただしエアーマットやインフレーターマットなら、コットよりも寝心地の良いモデルが見つかることも。
マットの寝心地は価格に左右されやすいのであくまで目安ですが、基本的にはインフレーターマット→エアマット→ウレタンマット→銀マットの順に寝心地良好です。
収納サイズ→マットの勝ち!
収納サイズで考えると、マットのほうに軍配が上がります。
骨組みの部品があるコットよりも、布地だけで構成されているマットのほうが小さくなるのは当然ですね。
もちろん収納性に特化したコットもありますが、コンパクトに収納できるコットは価格もややお高めです。
種類によっても収納性に差が出ますが、小さく収納したいならエアーマットかインフレーターマットですね。
銀マットやウレタンマットを選ぶ場合は、「ロール式」か「蛇腹式」かでも収納性に違いがあるので注意して見ておきましょう。
保温性→コットの勝ち…だけど合わせて使うのが最強!
コットは地面からの冷気を大幅にカットしてくれますが、真冬のキャンプ場ではコットだけだと不十分なことも。
もちろん直に地面に敷くマットでも同じことなので、寒さを最小限にするためには「コットの上にマットを敷く」という合わせ技が有効です。
コットだけでは相殺しきれなかった冷気をマットが吸収してくれるので、一緒に使うとかなり暖かい環境で寝ることができます。
さらに保温性を高めたい場合は、ハイコットの下に荷物を置くという小ワザも効果的。
こうすると地面からの冷気を荷物が吸ってくれるので、ハイコットの下の空気層がさらに温まりやすくなります。
クッション性→マットの勝ち!
クッション性で考えるなら、マットのほうが上だといえます。
コットは布地をピンと張って使う形式なので、寝心地は良いですがクッション性が高いわけではありません。
ふかふかした寝心地を好むなら、ウレタンマット・エアマット・インフレーターマットのいずれかを選ぶのが良いでしょう。
クッション性を高めるために、何枚かのマットを重ねて使っているキャンパーもいます。
ただしクッション性重視でマットを何枚も用意すると荷物がかさばるので、ソロキャンパーにはあまり向いていない方法ですね。
重量→マットの勝ち!
骨組みの部品がある分、単純な重量ではコットのほうが重くなりがちです。
銀マットやエアマットの重量はほとんどが数百グラム程度なので、なるべく重い荷物を持ち運びたくない方にはマットがおすすめですね。
しかし最近は軽くて丈夫なコットも開発されているので、実際に使ってみると重量はあまり気にならないかもしれません。
ハイコットはさすがに重めですが、ローコットなら1~2㎏しか重量のないモデルも売られているので、興味のある方は調べてみると良いでしょう。
機能性→コットの勝ち!
コットの良いところは、寝るだけではなくキャンプチェアや荷物置き場としても使えるところです。
ハイコットなら下に荷物を置けるのでテント内を広く使えますし、またちょうど良い高さなのでキャンプチェア代わりにもなります。
また、食材や楽器といった「なんとなく地べたに置きたくないもの」を一時的に避難させておく場所としてもコットは優秀。
いろいろな使い方ができるということは、それだけ他の装備品を減らせるということでもあります。
コットは基本的にマットよりもかさばりますが、機能性が高いので総合的に荷物を減らす裏技が使えることも覚えておきましょう。